コンビーフとカフェラテ

ある日の帰宅時

帰宅ラッシュの時間も過ぎてすっかり静かになった街を速足で通り抜けていく。
今日は疲れたので早く帰りたい。

何せ今日は用事があっていつもより2時間も早く起きて活動をしているので、実質、周りより2時間分疲れているようなものである。

そういうこともあって家に帰って気持ちよくゆったりしたいわけで、何をしたいかと考えるとまずは座りたいし、ご飯を食べたい。

あわよくばご飯に加えて何かおまけ的にもう1品つけちゃいたい。

もう1品はなんだろうか。
何か帰宅しながら簡単に調達できるものはないだろうか。
コンビニのレジ横にあるチキンなどだろうか…。

いや、ちょっとそこまでしっかりしたものというよりは、おつまみ的なものがほしい。酒は飲まないけど。

すると何か…?缶詰的なものがちょうどよさそうだ。

コンビーフだ。コンビーフないしコンミートが食べたい。

半年以上食べていないような気がするし、久しぶりに食べたい。

少し遠回りになるがコンビニに向かった。

コンビニが見えてくるとコンビーフの位置を予想した。

たぶんあそこのコンビニなら、2列目の棚の奥のあたりだろう……。

近づきながら入店後のルートを検討する。

入ってすぐ左だ。

そしてコンビーフを手に取りレジに直行だ。

自動ドアの奥、店内が見えるくらい近くまで来ると何か違和感を感じる。

レジに店員がいるのは良いとして、自動ドアのすぐ向こう、シミュレートしたルート上になぜか店員が立っている。

私は引き続き歩みを止めずに近づいていく。

あの店員は何か商品を陳列しているのだろうか…いや、特に動きがない。

自動ドアが開き始めた時、店員の前に小さなテーブルがあり、さらに小さな紙コップがいくつか並んでいるのが見える。

何?コンビニで試食的な?

こんな夜に…?酒か…?いや、酒飲めない人もいるし……

自動ドアが開き切ると、店員はとびきりの笑顔で言う。
「カフェラテおいしくなりました。どうぞ~」

ああー、カフェラテ。
レジ横で売っているやつだ。ああー、なるほど。

しかし、私はコーヒーは好きだが飲むと体調が悪くなるので飲まない。
あと、人と話すのがあまり得意ではない。

なるべく円満にかつ速やかにやり取りを終えるべく、足を止めずに爽やかに
「あ、大丈夫ッス~」
と言いながら、店員から遠ざかるよう直進する。ルートを外れた。

しかしながら、より明るくはつらつとした声で
「どうぞ、どうぞ~」と進めてくる店員!
申し訳ない、気持ちはありがたいんだけども!
「カフェインダメなんで、すんません」とこちらもなるべくの笑顔さらに遠ざかる。
これによりさらに棚を1列通過するハメになった。

結局グルっと遠回りして、当初の目的だった棚へ行くと予想通りコンミートがあり無事手にすることができた。

そのとき別の店員がカフェラテの店員に聞く声が聞こえる。

「あと何杯?」

ああー、全部配り切るまで終われないの?
飲めなくて申し訳ないなぁ、コンビーフだったらもらったんだけどなぁ。
入り口でずっと配って立っているのって大変だよねぇ。

そういうことを考えていたらなぜか近くにあったサイダーも買ってしまったわけだが、会計を済ませるとまたカフェラテの前を通らないといけないわけで、相変わらずいい笑顔と明るい声で
「ありがとうございました~!」
っていってくるし、もうこちらは小さい声で
「ッス」
と発しながら速足で通り過ぎるので精一杯だった。

コンビニから家までの帰り道、いろいろ考える。

どういう対応を取るのがベストだったのか?カフェラテの店員はどういう気持ちだったのか?両者にとって気持ちの良い試食、試飲の方法は何かあるか?夜って眠れなくなるからカフェラテとか飲むの控える人多いんじゃないのか?こちらがもうちょい元気な時で、さらに試飲対象がカフェラテじゃなかったらよかったのでは?いや、でも大好きなメロンソーダだったとしてもだぶん試飲ではもらわないのでは?

まとめ

という一連の出来事を、家についてからコンビーフ(コンミート)をつまみながら思い返したりしたんですけど、コンビーフ(コンミート)はチビチビとつまみながら長い時間いただけるので最高だと思いました。

おわり。

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